生活綴られ方練習

ゴールデンエイティーズ

長野県松本市に引っ越して、2年と数ヶ月が過ぎて、改めてとても良い町だと感じています。特にここ数日は気候も素晴らしく、なるほどアルカディアはここでしたか、というような気分でいます。5月の松本。ただ一つ不満があるといえば、映画館が実質的にない(イオンのシネコンしかない)ということで、ゆえに東京に行って少し暇があるときに何がしたいか考えると、それはミニシアターで映画を観ることだったりする。今は懐かしい岩波ホールに、わざわざ松本から出張ったりしたものです。松本にはその代わり、というのが適切なのか分かりませんが、松本CINEMAセレクトというNPO法人があり、劇場などを借りて定期的に上映会をしてくれています。良い作品を選んで安価で観る機会を提供してくれている、草の根の本当に稀有な活動です。もったいないことです。

というわけで、この金曜の夜は松本CINEMAセレクトでのシャンタル・アケルマン映画祭、『ゴールデンエイティーズ』を観ました。もう最高。アケルマンということで静謐で知的な作風を想像していたら、ばかばかしくも超絶おしゃれ可愛いミュージカルコメディで、完全に大好物のやつでした。全編を通してほとんどが、美容室とブティックとカフェが隣接したショッピングモール内で展開されていて、タイトルの通り、楽しくて可愛くてグロテスクな狂騒の80年代が描かれていて、それは真面目に取り合えば取り合うほど滑稽で、なおかつ切ないものとしてたち現れてきて、岡崎京子作品の一部にも似た匂いがあるような気がします。それでいて、ふっとホロコーストの傷跡を思わせるショットがさりげなく盛り込まれているあたりなど。

何はともあれアケルマンにこんな作品があると知れて、今週はもう満足です。YouTubeにティザーとしてめちゃキュートなワンシーンが上がっているので、どうぞ御覧じあれ。ハート射抜かれちゃいますね。

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