生活綴られ方練習

A

ここ数日はあまりどこにも出かけずにAWS(Amazon Web Services)とにらめっこをしていた。最近でこそ認知度が上がってきたようですが、あのAmazonがもう長いことこういう事業をしているということは意外らしく、「サーバがAmazonにあって」などと話すと驚かれるということも随分とありました。大型書店に何年もアルバイト勤務していた人間にとりましては、オンライン書店という存在は疎ましく思うこともありますが、AWSの便利さには屈服するしかないです。便利、というよりは事実上、ほかに替えがきかないという感じでしょうか。実際、IaaS(Infrastructure as a Service)業としてはシェア世界一で、最近でこそ成長が鈍化しているといわれながらも、依然としてAmazonにおける売上の半分近くを担っていたように記憶しています。Amazonが本屋でないばかりか小売業すら本業ではないと僕が言うのはそういった理由からです。もともと、書籍を売り始めたのだって、まだまだ未発達のEコマースでも充分に扱いやすい商材だったから、というのに過ぎないのだと思います。そして、やれブラックフライデーだのクリスマス商戦だの、繁忙期とそれ以外の時期で稼働率が大きく変化する小売業を営むにあたって、閑散期において余剰となるコンピュータ資源を貸し出すなんて、当時においてはそんなビジネスモデル成り立つのかと皆が訝しんだ事業がここまで成長しているのだからジェフ・ベゾスという人は随分と頭の働く人なのでしょう。事実、ほとんど知識も必要とせず、ものの数分でウェブサーバを立ち上げるなんてことができるのですから、AWSさまさまといったところです。

しかしながら、この知識を必要としないというのが厄介でして、サーバ運用経験のほとんどない僕がなぜAWSを触っているかというと、『RealTokyo』というウェブメディアの旧サイトのデータを僕が抱えているからにほかなりません。現代アート雑誌『ART iT』を創刊し、『現代アートを殺さないために』(河出書房新社、2020年)などの刺激的な著書がある小崎哲哉さん達が始めた『RealTokyo』は2016年に一度休刊、それをリニューアルして住吉智恵さん達が引き継いだのが現行の『RealTokyo』なのですが、旧サイトをアーカイブとして残したいという強い要望があったものの、なんせ2000年というインターネットの世界では古代といってもいいくらいの大昔に立ち上げられたサイトを保守運用することに新サイトのウェブ制作会社が尻込みしたのか、僕にお鉢が回ってきたという次第です。編集としてクレジットされていますが、実際にやっていることはこういうデジタルまわりの雑用だったりする。それにしても、パブリッシュされたものをただそのままにしているだけなのに、それなりに費用も手間もかかってしまうのだから、ウェブメディアというのも考えものですね。それに引き換え、紙の本ならそんな必要ありません。確かに物理的に場所がいるので、家中が本棚に埋め尽くされてしまう恐れもありますが、そんなことはきっとたいしたことではないのです。

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