生活綴られ方練習

二本指のパドゥドゥ

ヴッパタール舞踊団『Sweet Mambo(スウィート・マンボ)』を観るためにまたも京都へ。ピナ・バウシュ最晩年の作品にして、日本では初上演とのこと。はっきりとした輪郭を持つストーリーなどはないのにとても感動的で心を揺さぶられる。彼女の作品にテキストや写真を提供したりもしているジャーナリストのライムント・ホーゲによる著書『ピナ・バウシュ タンツテアターとともに』(ウリ・ヴァイス写真、五十嵐蕗子訳、1999年、三元社)が、実家の本棚にあるので久しぶりに手に取る。自ら振り付けることはほとんどせず、ダンサーに質問を繰り返したり、状況に合わせた動作をさせたりして、そこから出てきた動きや言葉から作品をつくることで知られるピナだが、本書にもそのリハーサルでの問いかけが掲載されていて興味深い。たとえば、こんな感じ。「動物は罠に落ちた瞬間に何と言うとみんなは思うかしら」「新しい和平の合図を考案する」「ごくまじめな文章をひとつ言う」「二本指のパドゥドゥ」「世渡りの達人」「見て、昔のキスの仕方はこんな風だった……」。

ピナの前には少し時間があったので、京都市京セラ美術館にて『民藝誕生100年—京都が紡いだ日常の美』を観る。民藝の、特に京都との関わりにある点に力を入れていて、壽岳文章に関係した史料が多くて嬉しい。壽岳文章も何冊か持っているはずだけれど、松本には『本の正座』(1986年、芸艸堂)があるので、そちらも久しぶりにぱらぱらと読んでみようと思う。ピナの本は新装版が2011年に出ているみたいだけれど、こちらはもう新刊では買えなさそうだ。やっぱり本を持っておくことと良いことがある。

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