生活綴られ方練習

信州の日差し

京都の先輩が松本まで遊びに来てくれていたこともあって、今年は何をしたいかみたいなことを言葉に出して考える機会になる。2023年はお茶っぴきだったから、もう少し能動的に動いた方がいいのではないかという焦燥感みたいな気持ちもあるのかもしれない。やはり何かしら本に関わることをした方が自分にとってもいいとは分かってはいながら、でもそれは本を売ることではないし(もちろん出版業界にお金が落ちるのは歓迎だけれど)、ましてや本を作ることでもないなどと逡巡する。ただ本を読む人が増えれば世の中はもっと居心地の良いものになるとは素朴に信じている、今のところはそれくらいの賭け金でやっていくしかないのだろう。「イベントというのとも違うのだけど、こういうことができたら楽しかろうと思っていて、ちゃんとかたちにするには何が足りないと思いますか?」というような曖昧な質問に対する先輩の答えは「経験ちゃう?とりあえずやってみたら」と。

本というと、年末の京都で、学生時代にずっとアルバイトをしていた書店を訪れた。より正確には、当時はジュンク堂だったのが今は丸善になっているその本屋は、フロア構成も何もかも僕が働いていた頃とはすっかり変わってしまっているのだけれど、変わらず棚がいきいきしていて見える。大学の多い街というのもあるのだろうけど、ちゃんと良い本が常に動いている印象がある。昔なじみの書店員さんとも少し立ち話をしたけれど、全国の丸善・ジュンク堂のなかでもやっぱりかなり特異な客層に支えられているようだ。店舗面積はたしか1000坪ほど、松本の丸善も同程度だと思うけれど、どうしてこうも雰囲気が違うのか。店舗面積や書店員の努力とかではどうにもならない部分がどうしてもある。そんなことを考えていたら、2000坪を超える日本最大のMARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店には、店舗内に駿河屋ができるなんてニュースを見てしまう。せっかくの2000坪。もちろん駿河屋が悪いわけでも、駿河屋の客層が悪いわけでもないのだけれど。

TANGINGUGUN吉日が出演するイベントに行くために先輩と連れ立って茅野へ。茅野駅直結の茅野市民館には小さな美術館や劇場、ホールなどとともに図書館スペースも備わっている。決して広いスペースではないものの、高架になっている駅コンコースからも大きな窓越しに書架が見え隠れする、少しわくわくする構造になっている。澄み切った空気にくわえて標高も高い信州の日差しを甘く見ていたのか、紫外線に焼けて軒並み真っ青になった背表紙がSNSで批判されていたりもしたけれど、本のジャケットなんて所詮は販促ツール、辛く長い学生生活の行き帰り、寒い冬に何十分も電車を待たなくちゃいけない中高生が書物という存在に偶然にでも気づく機会を提供できるなら、そっちの方がずっといい。読書家というには程遠い僕ですが、やはり本というものは飾るより読んでなんぼのものだと思っております。

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