この頃は少し忙しくて更新が滞りがちになっている。取材を兼ねて行った関東、まずは埼玉県で念願だった原爆の図 丸木美術館を訪ねる。首都圏だからいつでも行けそう、なのに公共交通のアクセスが良くないという2点が、ずっと行きたいと思いながらもその機会を持ち得なかった主な理由だろう。何せ先だって伊江島に行ったのだから、さすがに企画展「阿波根昌鴻 写真と抵抗、そして島の人々」は観ておかないといけないだろうと思った次第。
たしか丸木位里の母親の言葉だったと思うが「ピカは人が落とさにゃ落ちてこん」という強烈なフレーズが脳にこべりついたように離れない。人類はなぜ殺し合いをやめられないのか本当に不思議で、夏休みでもないけれど『子ども科学電話相談』の動物の回にでも質問してみたい。ピカこと原子爆弾の被害を丸木夫妻が描いていることは当然知っていたものの、それだけでなく水俣病や三里塚闘争を題材にした大作も観れて勉強になる。南京大虐殺や被曝した朝鮮人についての作品は、自分が日本人であるだけに特に身につまされる。朝鮮人の被曝については、『ルポ 思想としての朝鮮籍』(中村一成、2017年、岩波書店)のなかで李実根(リ・シルグン)さんが取り上げられているのを読んでから気にかかっている。被爆者を援護するための法律からこぼれてしまう在日朝鮮人の被爆者団体を結成した人。
その日の夜は神奈川県相模原市の橋本に移動して宿泊する。橋本駅前は、およそ考えつく限りの全国チェーン店があるのではと思うほどの町並みだった。そんななか、当地で50年続くという老舗の居酒屋「翁屋」に入る。屋台から始まったという創業はピカの落ちた1945年だそうで、もうすぐ80年になる看板を3代目になる大将が一人で切り盛りしている。山菜の天ぷらなどを焼酎でやりながら、とても楽しい時間を過ごした。良い居酒屋なので何とか続けてもらえないかと願う。相模原市に宿を取ったことで、夜を過ごしたことのない政令指定都市がなくなったことも地味に嬉しい。