今年も昨年に引き続き富山県南砺市は利賀村の『SCOTサマーシーズン』に行く。今年は京都の先輩らを誘って。芸術に関わる仕事に携わっているかとかも横に置いて、本当に色々な人に利賀村で鈴木忠志作品を体験してほしいのだけど、何せアクセスも悪いし、誰彼かまわず誘うということが難しい。せめて会場で富山の山海の幸を食べられるなどあればと思うのだが、いかんせん。今年のSCOT作品はエドモン・ロスタンの戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』で、音楽はヴェルディのオペラ『椿姫』が使われているロマンティックな作品と、ひとまずは言ってよさそうです。
『SCOTサマーシーズン』の目玉は、何と言っても「はてこん」こと『世界の果てからこんにちは』なのですが、翌朝に開かれる「鈴木忠志トーク」も外せない。鈴木忠志という稀代の演出家の矍鑠たる長広舌は、それ自体が一つのパフォーマンスになっている。昨年までは「85歳まで続ける」と言っていた『SCOTサマーシーズン』、いざ85歳を迎えた今年は「死ぬまでやる」という言質が取れたので一安心です。来年は利賀村に拠点を移した1976年から数えて50周年。新しくダンスも作っているとかで、そのバイタリティに驚かされる。SCOT以外の作品を観られるのも『SCOTサマーシーズン』の魅力の一つで、観劇できたなかでは大岡昇平『野火』を扱った瀬戸山美咲さんの演出が面白かった。
先述の通り、鈴木忠志ご一行が利賀村に移り住んだのは1976年ですが、『SCOTサマーシーズン』が始まるのが1982年。当時は『国際演劇祭 利賀フェスティバル』と呼んだそうです。その『第1回利賀フェスティバル』のラインナップが物凄くて、メレディス・モンク『少女教育』、タデウシュ・カントール『死の教室』、ロバート・ウィルソン『聾者の視線』……などなど。これら舞台芸術の最前線が、能楽やアングラ演劇、ブータンの仮面舞踊などと一緒に上演されていたというのだから、ちょっと想像を絶する。ダムタイプのメンバーがこの時の利賀村に足を運んでいたということを穂積幸弘さんがトークで話していて、これについては記事にもしているけれど間違いなく少なくない影響を受けていると思う。『玉姫殿菊の間への道』『ペコちゃんホラーショー』の「劇団 座★カルマ」から、『睡眠の計画 - Plan For Sleep』や『庭園の黄昏 - Every Dog Has His Day』の「ダムタイプ・シアター」になる程度には。酔った勢いで広島にも連行している先輩だが、初期ダムタイプの足跡を知りたい仲間としても利賀村は絶対に押さえておいてほしかったので嬉しい。
来年は富山市などにしばらく宿を取って、2週末を利賀村で過ごすのもいいのではと、なかば本気で考えている。「はてこん」で始めて「はてこん」で終える『SCOTサマーシーズン』というような。本当にいつまであるか分からないSCOT、もし興味あるという方がいらっしゃれば、ぜひご連絡くださいませ。