東京出張。今回は株式会社リクルートホールディングスが運営するアートセンター「BUG」からいただいたお仕事ですが、ご依頼いただいたきっかけは企業メセナ協議会での取材で、ネットTAMにも掲載されている記事での取材です。確かにアート業界には欠けているように見える「ライフステージへの配慮」「適切なパートナーシップ」「キャリアの支援」ということを活動方針に掲げている点が興味深く、インタビューでもそのあたりに重点的に触れていました。BUGではアーティスト以外にも「美術館やギャラリー、あるいはフリーランスでアートに関わる仕事をされている方」として「アートワーカー」という言葉を定義していて、パートナーシップなどのフェアなあり方を重視する上述の活動方針は、そのアートワーカーたちも射程に入っているようです。ちなみに、ベトナム反戦運動なども盛んだった1960年代アメリカでは、「アートワーカー」と自称することで自らの立場を「労働者」として、あるいはこう言ってよければ左翼的な存在として見做そうとする芸術家や批評家たちが多々おり、そのあたりの事情は、その名も『アートワーカーズ』(ジュリア・ブライアン゠ウィルソン、高橋沙也葉・長谷川新・松本理沙・武澤里映訳、2024年、フィルムアート)に詳しいです。ミニマルアートなど、特にコンセプチュアルで、時に工場に発注するなど自分で手を動かさない作品が主流になりつつある時代に、知的エリートたるアーティストたちが労働者を気取るというのもさもありなんという気もしますが、女性の美術批評家が自らの仕事を失う可能性を危惧して連載を持つ雑誌の担当編集者にまで妊娠を隠していたなどという話などもあり、それから半世紀以上も経つ現在もそう大きくは進歩していないような心地して、大企業が率先してこのような活動に取り組んでくれること自体とても心強い気持ちでいます。
何はともあれ、一度取材を受け、さらには僕の書いた記事を読んでくれた上で依頼をいただけるのは、仕事の内容が認められたようでとても嬉しい。などと浮かれていたら、打ち合わせで契約の話や謝金の話を懇切丁寧にされ、僕自身が活動方針「キャリアの支援」の対象でしたか、と情けないやらありがたいやら。ますますライター業を辞めることが難しくなってしまった模様です。何だか忙しくしています。