生活綴られ方練習

Bye, bye sailing...

今年の春に京都であった土取利行さんのコンサートで出会った松本の人は、移住前の東京でも映画に関わる仕事をしていた人で、現在は松本CINEMAセレクトでボランティア活動をしている。前日のGive me little more.で顔を合わせた時に「どうってことない話なんだけど」と、おすすめされた五十嵐耕平監督の映画『SUPER HAPPY FOREVER』を観に出かける。現代の邦画は、特に観る機会がないのでこんなふうにして声をかけてもらえるのは嬉しい。

馬鹿馬鹿しいタイトルさえむしろ切なく思えてくる本作は、急逝した妻と初めて出会ったリゾートホテルへ失くした物を探しに行く、というフィクションとしてはよくありそうな確かに「どうってことない話」。だからそれだけに、ショットの巧みさや構成の工夫が活きていて、最初の出会いを描いた第2部なんかは、そんなこと絶対したことないのに夏の観光地のクラブで2人抜け出して深夜のコンビニ前で啜る日清カップヌードルの味を思い出したりしていた。重苦しい雰囲気の第1部も、探し物に付き合ってくれている親友がおそらくはタバコを吸わないから、主人公が普段と違う「ハイライト・メンソール」を求めていることに無頓着なのも寂しさを助長するようで良い。「喪失」といってしまうと陳腐なテーマだけれど、失ったものを見つけることはできないながら、ちゃんと誰かが見つけてくれているようなことを示唆するエンディングは、ボビー・ダーリンの名曲『Beyond the Sea』と相まって少し温かい気持ちになるのでした。

No more sailing
So long sailing
Bye, bye sailing...
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