生活綴られ方練習

10俵穫れる

プレッシャーを感じていた仕事が立て続けに一段落し、まだ途中ながら概ね好もしい評価を得られて安堵する。普段、文字起こしに使っている『otranscribe.com』というサービスでローカルストレージの容量がいっぱいになっていることに気づかず、せっかく文字起こしした内容が半分近く消えてしまい困った。完全に自業自得だ。ローカルストレージは、こちらの夏休みの宿題にも使っている技術で、ブラウザ側にデータを保存するもの。皆さんも空き容量には充分お気をつけください。

ラジオからは、兵庫県丹波市の柏原(かいばら)で観測史上最高の気温41.2℃を記録したというニュースが流れてきて、父方の実家のすぐ近くで馴染みのある地名だったものだからカクテルパーティー効果もあってか嫌でも反応してしまう。北関東ならいざ知らず、近畿でも41℃を超える気温が普通になってしまうのかもしれない。父の実家があるのは、平成の大合併以前なら柏原町の南に隣接する山南町で、最寄り駅の谷川駅からJR福知山線で日本海側に一駅進むと柏原駅になる。丹波市の名前は、もちろん丹波国に由来するものだが、丹波国というと兵庫県のみならず京都府や大阪府の一部にもまたがる広域を指すので、柏原町やら山南町やら氷上町やら多くの人が知っているとは思えない小さな町が合併して丹波を代表するような市名を名乗ることには、京都の綾部市や隣接する篠山市からも多くの苦情が寄せられたという。篠山市にいたってはその後、丹波篠山市に改名しているくらいで、物事に適切な名前を付けるというのは、ことほどさように難事業のようである。

丹波でも美味しいお米をたくさん作っているのだけれど、丹波篠山市を挟んで南東側にあるのが、新潟県上越市長をして「米がまずい」と言わしめた三田市です。その上越市長が三田市を訪れて件の発言について謝罪したという報せもラジオで聞く。ラジオはこんなにも色々な情報を届けてくれるというのに、来週以降のラジオは夏の高校野球一色になってしまい、あの狂騒の音が本当に苦痛なので、うっかり耳にしないようしばらくはラジオを聞く時間が大幅に減る。とまれ、丹波に住む親戚の「こさえた」玄米をいただいているので、昨今の米不足の影響はそこまで被っていないとはいえやはり気になるもの、毎日の散歩道で通る田んぼを眺めながら、この面積の田んぼから一体どれくらいのお米が穫れるのだろうと、呑気に考えていた。

太閤検地で一石五斗などと田んぼを等級付けしているのは、一反(約100平方メートル)あたりに見込める収穫量によるものだが、実際には江戸時代初期の平均収量が一反あたり一石にも満たないということが、Wikipediaの「勤勉革命」の項目に書かれている。一石=10斗=100升=1000合なので、毎日3食に一合飯を食べる人なら江戸時代の一反ではちょっと物足りないということになりそうだ。農林水産省のウェブサイトによれば、現代日本人の平均的な年間米消費量は50.9キログラムとのことで、米一合を約150グラムで換算すると339.333……と無理数になってしまうので、もう少し現代人にも頑張って年間60キログラムは食べていただくことにすれば約400合つまりは4斗(0.4石)となり、これは一俵のお米にちょうど等しくなります。現代では、お米の品種改良や肥料の改善など様々な技術の発展によって、もちろん農法や品種による違いはありますが、江戸時代初期から比べると4倍くらい生産効率が高まっているそうです。ということは、玄米と精米との区別をしていないので大雑把ではありますが、まとめますと一反の田んぼから10俵のお米が穫れるということになりますので、散歩中に10メートル四方ほどの田んぼを見かけるたびに、ああこれで10人の現代日本人のお腹が満たされるなあと安心していこうと思います。

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