相変わらず忙しくしている。が、大きめの原稿を一つ上げたので、一人打ち上げするぞと、以前ファミレスでばったり会って、たくさん奢ってもらった人のお店に行く。ラッキョウを肴に芋焼酎をぐびぐび飲んでいたら、なぜかお隣のお客さんが奢ってくれる。ほとんど会話らしい会話もしていないのだけれど、後で店主に聞いたところによると有名な漫画家先生だったらしく、「飲み方が気に入ったんじゃない?」とのこと。ありがたい話だ。ご相伴にあずかりがちな人生。
抱えている原稿の色々で頭が忙しいので、気分転換に本屋へ行く。サクッと読めそうな新書でもと、晩酌のお供にぱらぱら読んでいる『サレ・エ・ペペ 塩と胡椒』(四方田犬彦、2023年、工作舎)に出てきた岩波新書『視覚化する味覚』(久野愛、岩波書店、2021年)をまずは。利賀村の鈴木忠志先生の回顧録もそろそろ買っておかねばと『初心生涯』(2025年、白水社)を芸術書の棚から。理工書の棚からは『テストステロン』(キャロル・フーベン、坪井貴司訳、2024年、化学同人)を、人文書の棚からは『裏庭のまぼろし』(石井美保・イシイアツコ、2024年、亜紀書房)を。後者は、実の姉妹で文章と挿画をそれぞれ手がけた本で、石井美保さんは澁澤賞を受賞している『精霊たちのフロンティア』(2007年、世界思想社)も我が家の本棚にあるが未読。民族研究の優れた書籍に対して贈られる澁澤賞は、澁澤敬三に由来しているらしい。そのほか、日本人初の国連難民高等弁務官で、湾岸戦争時のクルド人保護でも知られる緒方貞子さんの『満州事変』(2011年、岩波書店)もフェア棚に見かけたので購入。緒方さんの博士論文のテーマが満州事変だったことを初めて知る。満州には相変わらず関心がある。『暮しの手帖 第5世紀38号』には、鈴木信太郎や三岸節子の「復刻版 ぬりえ」が付録として付いている。