生活綴られ方練習

光とか音とか

11月22日からは七十二候の「虹蔵不見(にじかくれてみえず)」で、日差しが短くなり虹が出ることも少なくなるとのことですが、北陸新幹線の車窓から大きな虹を見たばかりだから、やはり七十二候の季節感が気候変動の現代にあっては合わなくなってきているのかもしれない。まだ残る緑のなかに赤や黄色がまだらに色づいた山並みは朝からの悪天候のためか真っ白く煙っていて、その霞を紗のようにして透き通る幅広の虹がかかっている光景がとても神秘的だった。

東京の友人に誘われて、石川県立歴史博物館『御殿の美』を観に、ホタルイカの春以来、今年2度目の金沢へ行ってきたのでした。城郭というものに馴染みがないので、いわゆる武力を象徴する空間としての「天守」と対比して、「御殿」というものが政治力や財力に直結した文化を誇るきらびやかな空間として捉えられているのが新鮮だった。今は博物館となっている建物自体も、旧陸軍の兵器庫だったことを思うとそれもまた面白い。

「金沢は10年ぶりくらい」という友人に、観光地の多い金沢にあって意外と知られていないながらも、とても充実したコンテンツを毎度提供してくれる金沢蓄音器館を案内する。僕自身、蓄音機の好きな友人に教えられて行ったのがつい昨年のことで、今回が2回目の訪問。様々な蓄音機がコレクションされていてそれだけでも楽しいのだけれど、1日3回行われる解説付きの「蓄音器聴き比べ」がすこぶる魅力的で、貴重な蓄音機の音色を実際のレコードを使って聴かせてくれる。SP盤だけでなく、音質のために縦波にこだわったエジソンが開発した円筒形のレコードがあったり、大きくすればするほど良い音になる「ラッパ」部分を自重に耐えられるよう紙で作られている蓄音機があったりと素晴らしい内容で、蓄音機もレコードも前回聴いたものとは違うものもあって、何度来ても飽きないようになっている。同じく入館料310円の鈴木大拙館と並ぶ金沢の超絶おすすめスポットです。

時間の限られるなか21世紀美術館はコレクション展『電気-音』だけ駆け足で観る。大好きな毛利悠子作品や塩見允枝子作品が観られて嬉しい。21世紀美術館が2003年に購入した田中敦子『無題(「ベル」の習作)』を基にして名作『ベル』を2006年に再制作していたことを知れたのも良かった。キュレーションを手がけた一人の高木遊さんは大学の後輩ということもあって何度か会う機会があり、直近でも5月にアーティゾン美術館でのダムタイプ展でばったりお会いしたのだけど、この日も館内でばったり会うことができてラッキーな気分。お若い方たちが頑張っていて頼もしい限りです。

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