生活綴られ方練習

6日ある

怠惰な性格なもので、締め切りを設定しないと絶対に何事もできない自信があるので、このサイトにも実は更新日を設定していて、でもそれは、たとえば1週間に1度みたいな分かりやすいスパンにしてしまうと自分が飽きてしまうな、という心づもりもあって、目安として七十二候を採用しています。菜虫化蝶(なむしちょうとなる)とか蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)とかの、昔の東洋の暦です。1年を72等分するので次の候までだいたい5日程度とはいえ、正確な日程は調べないと分からないので張り合い?が出るし、たまに6日ある候があると次の更新までの日数が1日多くて少しラッキーな気持ちになる。かてて加えて毎年の日付や曜日が異なるのも、書く内容にバリエーションが出そうで極めて合理的だなと自分で感心したりしているのですが、1年後もサイトの更新を続けているという確信はありません。とはいえ、自分にしてはよく続いているなと感じている今、サイトを始めて約3ヶ月が経とうとしている時期に、更新がだいぶ遅れてしまったのも自分らしいというかなんというか。気がつけば5月26日から始まった候「紅花栄(べにばなさかう)」も残すところ1日となっていて、でも6日ある候だったので、ほらねラッキーでしょという変に得意げな気分になったりしています。

そんなわけで前の候で観たものや考えたことについて、ここでは書くことになるのですけれど、5月21日(日)にインバル・ピントの舞台『リビングルーム』を世田谷パブリックシアターで観て、その夜には学生時代からの腐れ縁のような友人が手がけている「服とタイポグラフ」というユニットのイベントに参加しました。COVID-19によるパンデミック下で制作されたというインバルの作品は、そのタイトル通りリビングルームを舞台に展開されるのですが、彼女らしい自由なアイデアに溢れた可愛さと可笑しさを湛えた愛すべきものになっていました。独りでステイホームしている時間の寄る辺ない気持ちだったり、キャビネットから登場する非現実的な人物との接触しないコンタクトだったり、コロナ禍を経験しているがゆえに感じてしまうことを、どうしても強く意識して観てしまう。舞台美術の壁紙にあしらわれたインバル自身のドローイングも、植物のような菌類のようなモチーフで大変に好もしい。ステイホームの状況になったときに、まず最初にしたことが娘と一緒に壁に絵を描くことだったというようなことをアフタートークで話していて、とてもインバルらしいエピソードだと思った。

アフタートークにはゲストとして平山素子さんが参加されていて、20年前の2人の共作時にインバルが妊娠8ヶ月にもかかわらずジャンプしたりパワフルに踊ったりしていたという話で笑いを誘っていた。もう何年も前に平山さんにインタビューをしたことがあって、その取材のことを彼女自身が結構気に入ってくれていたというようなことを、つい最近になって人づてに聞いて、僕自身もダンサー・振付家にインタビューをする初めての経験だったものだから、とても嬉しく思っていたところだったので、思いがけずアフタートークでお話を聴けてよかった。作品を観た後などはやっぱり人と話すのが一番で、作品自体についてすぐ文章にすることは難しくても、ちょっと関係ないことを喋ったりお酒が回ったりしているうちに自分自身の感想めいたことがぼんやりと言葉になってくる。そんな言い訳を用意しつつ、一緒に鑑賞してくれたダンス好きの友人と三軒茶屋の居酒屋でひとしきりやりました。

そうなるともう「服とタイポグラフ」のイベントにたどり着いた時には存分にへべれけなので、記憶がおぼつかないのだけれど楽しかったことだけは覚えている。深夜に呼び出しても遊んでくれる聖(セイント)な友人を伴って参加。イベントというのは、来場者のオーダーに合わせて即興で音楽演奏をしてくれるもので、その音楽は後日カセットテープとしてプレゼントされるというので楽しみにしている。本当に腐れ縁というか、腐敗というより発酵というか、発酵具合もわりと良い関係だと思うので、ついつい気安く色々なことを言ってしまうけれど、育児も勤め仕事もしながら、こういった自分自身の活動も続けていることは本当に尊敬しているのです。

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