生活綴られ方練習

旧友

またも東京。今回のお目当てはアーティゾン美術館での『ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて』と、蒲田温泉の宴会場で上演された演劇『寂しさにまつわる宴会』です。前者は、このテキストサイトでもたびたび言及している毛利悠子さんの展示で、ここまでの規模の展示を観るのは、おそらく2019年に訪れた十和田現代美術館の個展『ただし抵抗はあるものとする』以来か。相変わらずビジュアルな構成力が凄まじいのと、ジョゼフ・コーネル『見棄てられた止まり木』の裏側を見せているのもとても痺れる。

毛利さんの展示も国内は追っかけのようにできる限り観るようにしているが、後者の上田久美子先生にいたっては、2022年6月の『バイオーム』こそ配信での視聴だったが、2023年2月のオペラ『道化師 / 田舎騎士道』も、2024年8月に城崎温泉までわざわざ出張った呼吸にまつわるトレーニングプールvol.1 オフィーリアの川』と、宝塚歌劇を辞めた後の作品をすべて追っていて、なかなかそこまでのファンはいないんじゃないかしらと自分でも少し呆れる。宝塚退団後のものとしては最も素直に楽しめた本作では、演者の竹中香子さんと三河家諒さんに何といっても圧倒された。

駆け足で立ち寄った東京都庭園美術館『そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠』も、東京都写真美術館『恵比寿映像祭2025 Docs —これはイメージです—』も良かったけれど、今回は毛利さんとウエクミ先生で十分過ぎるほどお腹いっぱい。蒲田では、たまたま同じ回に観劇に来ていた旧い友人と飲む。若い頃から詩作や句作をし、今は文学研究や翻訳に勤しんでいる彼とは、今は懐かしい京都の学生時代にやはり一緒に芝居を観に行ったり、スナックに足繁く通ったり、同じ講読を取ったら受講者が僕ら2人だけだった挙げ句に途中から教授に忘れられたり、ノイズバンドを組んでライブをしたりしていて、偶然に蒲田で会ったことがちょっと感動的だった。何より本の話を遠慮なくできるのは楽しい。

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