生活綴られ方練習

気分転換

週末は松本での仕事の打ち合わせのために、またもや信濃館に集まる。松本で知り合った友人たちに原稿を気に入ってもらえて飛び上がるほど嬉しい。僕の担当するページ数を増やしたいとのことだったので、その相談を。良い感じになりそうです。打ち合わせ後は皆してlist galleryで開催されていたマーケットイベント『冬のマルクト』へ顔を出す。松本にも少しずつ馴染んできている。

打ち合わせに取材、原稿締め切りと、珍しく連日その日に絶対しなくてはならない仕事が詰まっている日々が続いたので、気分転換がてら本屋へ行く。今年は人間世界でない世界にもっと触れようと思って、年明け早々に買った鳥の本に引き続き、気になっていた『マツタケ 不確定な時代を生きる術』(アナ・チン、赤嶺淳訳、2019年、みすず書房)などを買い求める。「オレゴン州(米国)、ラップランド(フィンランド)、雲南省(中国)におけるマルチサイテッドな調査にもとづき、日本に輸入されるマツタケのサプライチェーンの発達史をマツタケのみならず、マツ類や菌など人間以外の存在から多角的に叙述するマルチスピーシーズ民族誌」だそうだ。「The Mushroom at the End of the World」という原題も良い。先日、年上の友人から紹介してもらった本のうち『ゴッホの耳―天才画家 最大の謎―』(バーナデット・マーフィー、山田美明訳、2017年、早川書房)も手に入れる。ゴッホが自ら切り落とした耳について、当時の主治医のスケッチや、その耳を贈られたという女性の孫を探し当てた著者による大作だ。そのほか、『OSCクロニクル オープンソースカンファレンス年代記 ― 持続可能なコミュニティの運営と考え方』(宮原徹、2024年、秀和システム)、『AIと白人至上主義 人工知能をめぐるイデオロギー』(ヤーデン・カッツ、庭田よう子訳、下地ローレンス吉孝解説、2022年、左右社)を購入。前者は日本のオープンソースコミュニティを牽引したエンジニアの手になるもの。後者は、帝国主義に代表される、著者のいうところである「白人性」イデオロギーが、IT開発を巡る言説に見え隠れすることに警鐘を鳴らすような内容か。特に意識していたわけではないのだけれど、イーロン・マスクをはじめとしたペイパルマフィアの面々や、J・D・ヴァンスなどシリコンバレーの投資家たちのエキセントリックな言動を見聞きするに及んで、情報技術の進歩に対する期待と不安について、いつにも増してセンシティブになっているのかもしれない。気分転換になったかは不明です。

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