友人の毒山凡太朗さんや沖縄までトークを聞きに行った瀬尾夏美さんも参加している展覧会『記憶と物―モニュメント・ミュージアム・アーカイブ―』と広島県立美術館の『第2期 サマーミュージアム 戦後80年 戦争と美術、美術と平和』の会期終了が間近なので、弾丸で広島に滑り込む。凡ちゃんのトークに行って以来の広島だろうか。今年から母親が広島に移住したという友人と広島駅で待ち合わせるなり、瀬戸内の海鮮を食べようと新しい駅ビルを散策がてら昼食を摂る。路面電車が駅2階フロアまで進入してくるのも見慣れない光景だが、ルート変更に伴い電車が停まらなくなった的場町電停あたりの景色も何だか寂しげに見えてしまう。とはいえ、2026年春に予定されている循環ルートが開通すれば、またここにも路面電車が走るらしい。
広島市現代美術館に移動。展覧会タイトルにある「記憶と物」は「Between Memories and Objects」と英訳されていて、中原佑介先生の名高い東京ビエンナーレ『人間と物質』展の英題が「Between man and matter」であった通り、記憶と物の「あいだ」や「関係」に焦点が当てられていることが分かる。だからこそ、美術館の立つ比治山にかつてあったという銅像のストーリーから展示は始まる。戦時中の金属類回収令によって当の銅像は撤去され今は台座のみがひっそりと残されているという。戦前、勇ましい海軍軍人として象られた加藤友三郎という人は、銅像の撤去とともに多くの広島市民から忘れ去られていたそうだが、2008年になって銅像復元の話が持ち上がる。再建された像には、ワシントン海軍軍縮会議に日本の全権大使として参加した際の姿が選ばれ、もはや軍服を着ていない。まさにモニュメントと記憶の関係を語るエピソードだろう。
展示を観終えて、友人と八丁堀の喫茶店で一息ついた後、とりあえず牡蠣でも食べようかと商店街を歩いていたら、声をかけてくる人がいて何かと思えば、国立民族学博物館でもばったり会ったことのある顔見知りで驚く。大学院を終えて、今年からは丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で学芸員をしているらしい。一緒にいた友人とは、何年も前にやはり一緒に十和田市現代美術館に行った折にも、別の顔見知りにばったり遭遇したところを見られているから、「顔が広い」と言われて、関西人なら通じるだろうと「顔が広いって言うより、ただ無駄に顔がさすだけやねん」と変な弁解をする。以前、関西の友人たちと話していて、そういう結論になったことがあるのだが、「顔がさす」というのは、どうも関西圏でしか伝わらない表現のようだ。
利賀村からそのまま関西経由で広島に行くことも考えていたが、いったん松本に戻ったおかげで、Give me little more.でTot Onyxのライブを観ることができた。そういえば、ライブ前にファミレスで仕事をしていたら、少し前にお邪魔した居酒屋の店主も同じ店にいたらしく、なぜかそのまま一緒に飲む流れになって、よく分からないままお酒をたくさんご馳走していただき、また仲良くなれたことも嬉しい。顔がさすことでラッキーだったできごと。