生活綴られ方練習

どうせフェアリーテール

松本から関西まで車で行くという友人に便乗して西へ。京都には夕方に着いて辻本佳さんの出演しているサファリ・P『悪童日記』、翌日はOKI DUB AINU BANDのOKIさんが制作したアイヌに関するドキュメンタリー映画の上映会兼ライブと、コンテンツが多い。本当は随分と前から翌週末に京都で予定を入れていたところ、この週末に法事で京都に来ることになってしまって、それならばと京都を満喫する。

アゴタ・クリストフによる原作『悪童日記』は、もういつ読んだかも覚えていないけれど、ハンガリー出身の作者が母語ではないフランス語で書いた作品で、そういう先入観もあってか、幼い双子によって書かれた日記という設定のゆえか、日本語訳で読んでなおその文体からいびつな空気の手触りのようなものを感じたように記憶している。言語学では双子語といって、しばしば双子たちが自分たちにしか分からない符牒のようコミュニケーション方式を発達させるという報告があるが、そんなことを考えたりしていた。佳さんだけでなくMonochrome Circusの森裕子さんも出演しているので、もう少しダンス要素が強い作品を期待していたが、森さんの声や身体にアンファン・テリブル感があって作品とマッチしていたように思う。

翌日のOKIさんのイベントは、エリック=マリア・クテュリエと土取利行さんのコンサートも担当していた、学生時代からお世話になっている上野さんによる企画で、今回は山本精一さん達のライブと同様ご自宅のガレージが会場。「早めに来れたら手伝って」と言われていたので、午前中に京都国立近代美術館の『若きポーランド』とリニューアルオープン後初めて訪れる泉屋博古館だけチラ見する。時間がないことを言い訳にして、あまり難しいことも考えないで気負わず展覧会を観る時間が結構好きだ。

早めに会場入りしたお手伝いメンバーには、ちょうど丸1年前に上野さんと一緒に松本にいらした方や、たまたまちょうど丸2年前に僕が読んでいた本の著者もいて、何だか不思議な感じ。OKIさんも、それこそ札幌などでライブは観たりしていたけれど、実は鎌倉のご出身でどういうことかと思えば、加納光於の養子だそうで(Wikipediaにも書いてある)、確かにOKI KANOとクレジットされているのは見るけど、と心底びっくり。さらに加納光於に養子に出した実父というのが砂澤ビッキで(Wikipediaにも書いてある)、さらにびっくり。アイヌに伝わる楽器トンコリを演奏するOKIさんは、ご自身で楽器も制作するほどの木彫の腕があるのだけれど、入学した東京藝術大学で使われている教科書に載っていたビッキの作品を見て自身のルーツに気づいたというのは、さすがに出来過ぎで、ことによるとチャーミングな上野さんによる他愛ないおとぎ話だったのかもしれない。

日記のような形態の表現におけるフィクションの忍ばせ方について考えている。

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