松本で知り合った作家の星野文月さんにお声がけいただいたので、松本PARCOで開催されていた『ALPSCITY BOOK PARADE』という本のイベントに出かけた。松本のカフェ兼書店「栞日」のコーディネートによる初開催らしく、大規模なイベントではないけれど、文月さんのエッセイを出版した百万年書房のほか、学生時代からの友人である仲西森奈さんの小説や歌集を出版している出版社さりげなくなども出店されていて、まったく違うところで出会った人々の作品がこうやって同じところに並んでいるのは、会場が狭いぶん余計に不思議な気持ちになるものだなと考えたりしていた。出版社だけでなく新刊書店の出店もあり、置いているものも古本やZINEなどバラエティに富んでいる。アリスン・ピープマイヤーの『ガール・ジン 「フェミニズムする」少女たちの参加型メディア』(野中モモ訳、太田出版、2011年)を興奮して読んだ一人なので、一時期はZINEのイベントやお店などもチェックしてはいたものの、自分で買うこともあまりないのでしばらく離れていたけれど、松本にもZINEを作っている人々がちらほらといるようなので少し気になっています。ZINEというものは、作る過程だったり同じくZINEを作っている人たちとの交流だったり、読むだけでなく自分で作ることを前提にしたシーンなのかもしれないと思う。僕も一度、ちょうどこんなハロウィン時期に友人のZINE制作を手伝っていたことがあり、ハロウィンの深夜の渋谷のファミレスで作業していたのとか、今思い出しても幸福な時間だった。
ハロウィン、つまり万聖節(All Hallow's evening)について、ケルトのお祭り「サウィン」を起源の一つにしているのとかも、イースターの起源くらい楽しいお話なのですが、個人的に気に入っているのはハロウィンにおけるカボチャの存在感だったりする。「ジャック・オー・ランタン」の名で親しまれているカボチャの提灯おばけは、カボチャの原産地であるアメリカ大陸がヨーロッパによって「発見」される前には、「ルタバガ」というカブの仲間の根菜で作られていたのが、ハロウィンの風習が新大陸で広まるに連れて今のカボチャの姿がポピュラリティを獲得していったという経緯があります。ハロウィンのカボチャに限らず、イタリアのトマトもアジアの唐辛子もドイツのじゃがいもも千葉のピーナッツも「発見」以前のユーラシアにはないのだから、今ぱっと思い描く食文化とはいずれの国も随分と違うものだったのでしょう。ケチャップなんかも、今の中国南部から東南アジアあたりの魚醤を語源にしているという説もあるようですから、同じ名前でも全然違う料理なども存外にあったのかもしれませんね。ともあれ我が国にも件のカボチャがポルトガル船からもたらされて、おそらくは船の寄港地であったろう東南アジアの国名や中国の都市名で今も呼ばれていたりする。ちなみに、1980年頃から世界的な演劇祭が開催されている富山県利賀村でも劇団の人たちが最近カボチャを育てていて、演劇祭に来たお客さんたちに無償で配っています。僕も、種までオリーブオイルで揚げ炒るようにして美味しくいただきました。