食欲と作りたい料理と胃袋のキャパシティが全然ちぐはぐだから、ブリのあら汁とクリームシチューとが大量にあってどうしようかと思う。ブリのあらが安売りされているとあら汁を作りたくなるものだし、クリームシチューは賞味期限を過ぎてしまった牛乳があったから。それなのに、引いてしまった出汁をどうしようかと思案して、豆腐とネギがたっぷりの味噌汁を作るのだから、これは一汁三菜どころか、さしずめ三汁苦といったところでしょうか。
外で飲んだ帰り道、24時間営業のスーパーマーケットをほろ酔いで徘徊している。飲み屋で初めて会った客、それも2人からスーパーで見かけたことがあると言われて少し恥ずかしい。先日も深夜のスーパーで食材を物色していたらブロッコリーとケールをかけ合わせたアレッタという野菜が安くで売られていたので買ってみた。ラテン語「ala(翼)」に指小辞「etta」が付いているので、「小さな翼」ほどの意味のようですが、そこから転じたのかイタリア語では「魅力的な物」といった意味も持つという説明があった。ブロッコリーとケールから生まれた子が、こんな素敵な名前で呼んでもらえていることに楽しくなる。
名前に込められた願いに違わず、ほどよい苦みや食感が美味しいアレッタですが、ブロッコリーもケールも種(しゅ)としては「ヤセイカンラン(学名:Brassica oleracea L.)」というアブラナ科アブラナ属の同じ植物なわけで、カンランとは「甘藍」と書いてキャベツのこと。つまりブロッコリーもケールもキャベツも同種です、そうは見えないけれど。たとえば犬猫や羊など家畜の多様さにもいつも驚かされますが、野菜の品種というものも不思議だなとつくづく思う。やはり同じアブラナ属の「ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa)」にいたっては、白菜も小松菜も青梗菜も水菜も野沢菜も、この学名しか呼び名のない植物の変種だというから、青菜のことはブラッシカ・ラパと呼べばかなりの高確率で当たりそう。ほうれん草はヒユ科、空芯菜はヒルガオ科だから気をつけて。ちなみにカブもブラッシカ・ラパだけれど、よく似たルタバガの学名はBrassica napusで、これはセイヨウアブラナと同種らしいです。そういうところも不思議だ。